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ファストフードばかり食べていませんか? Part.2(食事と不妊)

2018.09.27 生活習慣

桜十字渋谷バースクリニック培養部です。

7月に、「ファストフードを食べ過ぎると妊娠に悪影響を及ぼす」可能性について、オーストラリアの研究をご紹介いたしました( こちら)。

今回は、前回とは少し違った視点から、ファストフード(外食)が妊娠に悪影響を及ぼす可能性について述べている興味深い論文が、環境科学の国際誌Environment International, Volume 112, (2018, 269-278)に発表されていましたのでご紹介したいと思います。

 

ファストフードを始め、“外食”があまり健康的では無いとする研究は多くの分野で多岐にわたって行われており、すでにほぼ常識と化していますが、米国・ジョージ・ワシントン大学とカリフォルニア州立大学の共同研究チームは、環境科学という観点から、化学物質である『フタル酸エステル』に注目しています。

 

『フタル酸エステル』は、プラスチックやゴム製品を軟らかくして形成しやすくしたり、強度を高めたりするために使用されます。
外食産業においては、容器、食器、ストロー、店員が使うゴム手袋、食品を包む紙など、ありとあらゆる場所で使われていますが、この容器に付着しているフタル酸エステルが、食品が接触することで反応して溶け出し、食品内に混入しているのではないかと指摘しています。

先行研究より、フタル酸エステルのうちの数種類が内分泌系(ホルモン)に悪影響を及ぼす可能性が示唆されており、女性においては乳がんや不妊症を引き起こす原因になると考えられています。
米国・ジョージ・ワシントン大学のAmi R Zota准教授と、カリフォルニア州立大学のJulia Varshavski教授は、米国国民健康栄養調査(NHANES)が2005~2014年に行った、10,253人分の食に関する調査データを分析し、フタル酸エステルの尿中濃度を調べて、食事との相関関係について調べました。

 

その結果、ファストフードやレストランを利用するなど日常的に外食をしていた人は、自宅で食事をすることが多い人と比べて、尿中のフタル酸エステルの濃度が35%高いことを示しました。

また、年齢別で見ると、フタル酸エステルの濃度に最も大きな影響を受けていたのは10代~20代前半の若者であり、外食が多かった人とそうでない人を比較すると、実に55%も尿中の濃度が高かったと報告しています。

 

Zota准教授は、「フタル酸エステルを摂取することによる内分泌系への有害な反応は、特に妊婦や子どもが受けやすい」としており、「子ども成長過程において、内分泌系は非常に重要な働きを担うため、どうすれば食品にフタル酸エステルが入り込むのを防げるかを、製造工程や販売の段階から考えていく必要がある」と述べています。また、Varshavski教授は、若者においてフタル酸エステルの尿中濃度が高かったことから、このまま摂取をし続けることで将来的に不妊症になるなど「生殖になんらかの支障をきたす可能性」についても言及しています。

 

過去に行われた研究より、マウスでは、フタル酸エステルが生殖器に対して毒性を示すことが知られていますが、現時点では急性毒性の低い物質であるとされており、長い期間に渡って大量に摂取しない限り影響はほとんど無いレベルであると考えられています。

 

たまにハンバーガーを食べたり、外食をしたりする程度であればさほど大きな問題は無いのではないかと考えられますが、バランスのとれた食事をちゃんと自分で作って食べることが、健康にも妊娠にも良いということは間違いなさそうですね。