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妊娠に重要な栄養素『ビタミンD』と『カルシウム』のお話し ~Part.1~

2018.10.06 研究結果

桜十字渋谷バースクリニック培養部です。

過去に、「魚介類を多く摂取するカップルは妊娠しやすくなる」という研究発表をご紹介させていただきました(こちら)。
魚介類に多く含まれる栄養素『ビタミンD』『カルシウム』があり、現在、この2つの栄養素が“妊娠の前後に積極的に摂りたい栄養素”として『葉酸』と同様に大きく注目を浴びています。

 

今回は、世界トップレベルの内分泌臨床研究に関する査読誌The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolismから、これらの栄養素に関する最新の研究をご紹介したと思います。

 

『ビタミンD』『カルシウム』は、女性の身体はもちろん、胎児の骨や歯の発達に非常に重要な役割を担うことが知られています。『ビタミンD』は、『カルシウム』の体内への取り込みを促進する働きがあることが知られていますが、実は“ビタミン”と名前が付いているものの、女性ホルモンや男性ホルモンなどのいわゆるステロイドホルモンに非常に似た構造があり、ホルモンの一種であると考えられています。そのため、妊娠の前後にも大きく関わっていると言われているわけです。

 

『ビタミンD』太陽の光に当たること(日光曝露)によって体内でも合成され、不足すると他の動物種では繁殖力に影響を及ぼすことも示されています。そんな『ビタミンD』ですが、イタリア・ミラノにあるOspedale Maggiore病院とミラノ大学の研究チームは、ビタミンD欠乏症を示した女性では、十分なレベルのビタミンDを有する女性と比較して、体外受精(IVF)での生児獲得率が半減すると示唆しています。

 

この研究を率いたAlessio Paffoni医師は、「本研究は、『ビタミンD』がIVFを受けている女性の妊娠においてどのような影響を及ぼしているのかを調べた過去最大の研究である」と述べています。

Paffoni医師らのチームは、2012年の一年間にOspedale Maggiore病院 生殖医療ユニットにおいてIVFを受けた335人の患者を抽出し、ビタミンDが十分なレベルにあるグループ(181人)と、ビタミンD欠乏症を示したグループ(154人)に選別して、この両グループを対象として臨床妊娠率の比較検討を行いました。

 

対象となった患者は18歳から42歳までの女性で、両グループの間に平均年齢やBMI値などに差は無く、悪性疾患、高血圧、糖尿病、多発性硬化症などの既往がある患者は除外されたため、過去の病歴などにも差はありませんでした。

 

一般的に、健康的な状態として推奨される血中のビタミンD量は30 ng / mlとされていますが、本研究では、少なくとも20 ng / ml以上を示した女性は十分なレベルにあるとみなしました。

 

この2つのグループで臨床妊娠率を比較した結果、十分なレベルのビタミンDを示したグループでは、ビタミンD欠乏症を示したグループの約2倍の臨床妊娠率が示されました。また本研究では、ビタミンDが十分なレベルにあるグループの方が採卵時の卵子獲得率、移植率なども有意に高かったとしています。

 

Paffoni医師は、ビタミンDが十分なレベルを示すグループでは、性ホルモンの分泌も安定していることが考えられるため、ビタミンD欠乏症を示すグループよりも良質な卵子を獲得できる可能性が顕著に高く、結果的に臨床妊娠率が有意に高かったのではないかと理論付けています。

 

Paffoni医師は、「本研究は、ビタミンDの欠乏が不妊症に大きな影響を与えることを示唆している」とし、「ビタミンDを積極的に摂取することや野外で活動することは、安価で簡単に進められる治療方法の第一歩になり得る可能性がある」と述べています。

 

先述にもありますが、『ビタミンD』『カルシウム』魚介類に多く含まれおり、特に“あんこう”や“いわし”に多く含まれているそうです。過剰な摂取にはもちろん気をつけていただかなければなりませんが、寒くなってきたこの季節には美味しい魚介類をたくさん食べて、妊娠を目指してみましょう。