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体外受精(IVF)

体外受精では精液を精製し、良好な精子のみを回収、回収した精子を卵子に振りかけるようにして媒精(精子と卵子を合わせること)します。体外受精での受精率は約70%前後です。
媒精の翌日に受精したことを確認できた場合、基本的には胚盤胞と呼ばれる着床する直前までの段階まで育て、胚を子宮の中に移植します。胚盤胞まで育ったものが複数ある場合には、残りの胚を凍結保存します。また、すぐに胚移植しない方が良いと判断された場合はすべての胚盤胞を凍結保存します。

顕微授精(ICSI)

精子の濃度や運動率が低い場合、卵子の受精障害など体外受精では受精が難しいと判断した場合に行います。
体外受精では卵子が入っている培養液に精子を振りかけて卵子と精子が自然に受精するのを待ちますが、顕微授精ではインジェクションピペットと呼ばれる髪の毛の1/20ほどの細さの針を用いて1個の精子を卵子に直接注入して授精させます。顕微授精の受精率は約90%前後です。
当院の顕微授精は、1000倍という高倍率下で精子の形態を観察して、その中から良好な精子を選別していきます。また、紡錘体可視化装置を導入していることで、顕微授精施行時に卵子の染色体の損傷を避けることができるほか、最良のタイミングで顕微授精を行うことが可能となっており、受精率・胚盤胞発生率において良好な成績が得られています。

ー 体外受精・顕微授精の流れ

採卵誘発

より多くの卵子を十分に成熟させて採卵するために、内服と注射で排卵をコントロールしながら卵子を育てます。

採卵と採精

排卵日の直前に成熟した卵子を卵胞から取り出します。また、同日に採精も行い受精の準備を整えます。

受精

採卵した卵子を培養液へ移して受精させます。精子を卵子に振りかけるようにして媒精する体外受精と1個の精子を卵子に直接注入して受精させる顕微授精の2種類あります。

胚培養

専用の培養液で受精卵を育て細胞分裂を進行させます。

胚移植

培養した胚を子宮内へ移植します。採卵した生理周期で移植をする新鮮胚移植と胚を凍結して別周期で移植をする凍結胚移植の2種類があります。

ピエゾICSI

当院では、従来から用いられてきた一般的な顕微授精(ICSI)に加えて、『ピエゾICSI』と呼ばれる方法を取り入れております。
この方法は、卵子にやさしく、正常受精率がよりアップすると言われ、有益な技術の一つです。「ピエゾICSI」は、“1つの卵子に1つの精子を直接入れる”という点においては、従来のICSIと同じですが、卵子の細胞膜の破り方に、大きな違いがあります。従来の顕微授精(ICSI)では卵子に針(ピペット)を刺しただけでは細胞膜が破れないため、その膜を破るために吸引圧をかけていました。この際、細胞膜の弱い卵子は吸引のショックで変性する場合がありました。そこで当院では、ピエゾ素子の発生する微細振動により卵子の細胞膜を破る事のできるピエゾICSIを導入しました。この技術は、卵子に対し吸引の際のショックがかからず、卵子が変性してしまう可能性を軽減できると言われ、正常受精率の向上が期待できます。

タイムラプスインキュベーター

通常は体内に存在する卵子と精子および受精卵には、私たちの生活する酸素濃度の高い環境は非常にストレスとなります。よって、母体内のガス環境に合わせたインキュベーターから受精卵を取り出して顕微鏡下で観察すると、受精卵を育てている培養液のpHの変化や温度低下が起こり、受精卵に多大なストレスがかかる懸念があります。

そこで、当院では受精卵の観察時にインキュベーターから取り出さなくても観察が可能なタイムラプスインキュベーターを導入し、受精卵に優しい環境で胚培養を行うことが可能です。

また、発育の様子を動画で観察する事で受精や分割・発育速度が正常であるかどうかなどの情報を得ることができるため、複数個の受精卵がある場合は、これらの情報をもとに良好胚の選択をすることができ、妊娠率の向上が期待できます。