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体外での精子形成研究について

2018.06.20 研究結果

桜十字渋谷バースクリニック培養部です。

6月15日(金)、16日(土)に神戸で開催された第37回アンドロロジー学会に参加しました。
アンドロロジーとは「男性学」の意味であり、精巣や精子を中心とした男性生殖から得られた研究成果を発表する学会です。

今回私が最も楽しみにしていた演題である「体外での精子形成研究」についてお話させていただきます。

精子形成は男性生殖において重要なステップであり、性成熟後であれば精巣で精子形成が開始されているため、射精などにより精子を採取することが可能です。しかし、性成熟前では精巣で精子形成が開始されていないため、精子を採取することができません。そのため、精子形成をおこなっていない精巣の一部を取り出して、体外にて精子形成を再現することができれば男性生殖にとってひとつの福音となります。

体外で精子形成を再現することは20世紀前半からチャレンジされていましたが、思うような結果を得られずにいました。しかし近年それをわずかながら再現できるようになってきました。

マウスでの研究成果ですが、精巣組織をアガロースゲルといわれる寒天のようなものの上に置き特殊な培地あるいは添加物で培養することにより体外で精子形成を再現でき、そこからできた精子細胞あるいは精子で産子を得られたと以前から発表されていました。しかし、その特殊な培地と添加物にどのような物質が含まれているのかが未知であるため、どの物質が体外での精子形成にとって良い作用をもたらしたのか特定はできませんでした。

そこで今回の発表では、体外での精子形成を成功させるのに必要な成分の調査を発表されていました。結果としては、候補の物質がある程度は判明したものの、全ての物質を完全に特定するまでには至りませんでした。

また体外での精巣組織培養は、動物種が変わると同じように培養しても同様の結果が得られるとは限らないようであり、マウスで成功したからといって、すぐにヒトに応用されることは難しいかと思います。

しかし、どの物質が精子形成に良いかわかり臨床応用されれば、将来精子形成ができずに不妊を示してる患者さまや、性成熟前の若年性のガン患者さまの精巣組織を培養して得られた精子から挙児を得ることができるかもしれません。