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子宮卵管造影検査について

2018.07.30 検査・治療法

こんにちは 院長の井上です。

 

今回は一般不妊検査のひとつである子宮卵管造影検査についての報告をご紹介いたします。

 

子宮卵管造影検査は、子宮内に造影剤を入れ、子宮の形態と卵管のつまりや形状、骨盤内癒着を観察する重要な検査です。

 

この造影剤には、油性と水性の造影剤があり、それぞれメリット、デメリットがあります。

 

油性は粘性が高く、観察しやすいというメリットがありますが、卵管が腫大している方などは造影剤が水溶性より残存しやすいこと、まためったに起こることはありませんが油性の造影剤による塞栓症の可能性もあります。また翌日来院しレントゲン撮影の必要があります。

 

それに対し、水溶性造影剤は吸収されやすく、三十分後に腹腔内の観察のためのレントゲン撮影ができ来院回数を減らすメリットがありますが、観察しにくいというデメリットがあります。

 

子宮卵管造影検査後は、自然妊娠率が上昇すると以前から言われています。

 

去年The New England Journal of Medicineでも報告がありましたが、子宮卵管造影後の妊娠率は油性の造影剤の方が良いという結果報告されています。

 

今回の報告は

子宮卵管造影検査で油性と水性の造影剤使用し、その後の妊娠率に違いが出たか比較した報告で多くの論文をまとめて検討しています。

今年の7月に発表されたfertility and sterilityの

 

”Oil-based versus water-based contrast for hysterosalpingography in infertile women: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials”

 

をご紹介いたします。

 

報告にもよりますが不妊症原因の3分の1は、卵管閉塞などの女性生殖管の解剖学的異常によるものとされています。子宮卵管造影検査(HSG)は不妊検査において一般的に使用される診断方法です。
経験的に今までは、HSGに使われる造影剤は油溶性造影剤(OSCM)を用いて行われていました。しかし、油溶性造影剤は、炎症または閉塞した卵管の存在下で肉芽腫性変化を促進する可能性があるため、徐々に水溶性造影剤(WSCM)に置き換えられてきました。今までの研究では、妊娠後の妊娠率は使用した造影剤の種類によって異なることが示されていました。

 

今回は6つの試験で妊娠率に差が出るか検討しています。
合計2,562例(OSCMに1,179人、WSCMに1,383人)を対象としています。

 

結果:
継続妊娠について
油性造影剤を使用した1,179人の女性のうち379人(32.1%)、水溶性造影剤を使用した1,383人の女性のうち326人(23.6%)が妊娠していました。油性の造影剤を使用した方が有意に妊娠率の上昇をみとめました。
流産率は、全体で6.3%(OSCM:827人のうち48人[5.8%]、WSCM:814人のうち56人[6.9%])でありました。OSCM群とWSCM群の間に流産の発生率に有意差はありませんでした。
異所性妊娠率については、全体で0.6%(OSCM:827人のうち人[0.5%]、WSCM:817のうちの6人[0.7%])でありました。群間で異所性妊娠の発生率に有意差はありませんでした。

 

油性の造影剤を使用した方が有意にその後の妊娠率を上昇させたという結果でした。

 

油性の造影剤が妊娠率を上昇させる可能性のある根本的なメカニズムは不明であり、さらなる科学的研究で明らかにされるべきであります。流産や異所性妊娠は両群で有意差をみとめませんでしたがOSCMでは、塞栓症、肉芽腫、またはアレルギー反応の副作用が理論上のリスクとしてあります。

 

The New England Journal of Medicineと同様に油性造影剤を使用した方が妊娠率は高い結果でした。さらに有害事象も変わらないという結果でした。妊娠率だけ見ると油性の造影剤を使用した方がよいかもしれませんが、合併症を起こしやすい症例などは水性の造影剤を使用しても良いかもしれません。
当たり前ですが一人ひとりにあった検査法を計画立てていく必要があります。

 

なお当院では油性も水性も用意しております。副作用をなるべく起こしたくないため、また来院回数を減らしたいため、水性の造影剤を使用することが多いです。しかしリスクのない方は油性造影剤を使用しその後の妊娠率上昇に期待します。

 

※子宮卵管造影検査をはじめとした不妊検査についてはこちらをご覧ください。