Staff Blog

葉酸とは?妊活・妊娠に重要な栄養素

公開:2024.03.18

不妊と食事サプリメント生活習慣

葉酸は、水溶性ビタミンでビタミンB群に属します。植物の葉に多く含まれ、黄色結晶で光や熱に不安定な物質です。ビタミンB12とともに赤血球を作るので「造血のビタミン」と言われています。また、代謝に関与しており、DNAやRNAなどの核酸やタンパク質の生合成を促進し、細胞の生産や再生を助けることから、体の発育にも重要なビタミンです。

胎児の先天性異常である神経管閉鎖障害のリスクを減らすため、妊婦さんに葉酸が重要なことは多く知られていますが、最近の研究により、ビタミンB12と葉酸が動脈硬化の危険因子と考えられているホモシステインを、メチオニンに変換する反応を助けることが示唆されました。

さらに、メチオニンは、血中のコレステロール値を低下させる可能性があると考えられています。これらの研究から、虚血性心疾患の予防にも効果があるのではないかと期待されており、さらなる研究が進められているそうです。

葉酸はビタミンB群の一種に分類される必須栄養素です。したがって、食べ物から葉酸を必要量摂らないと不足し、やがて欠乏状態になってしまいます。葉酸欠乏といえば、赤血球の数が足りないために起こる「貧血」で、妊婦に起こりやすい「妊婦の貧血」です。ビタミンB12欠乏と同じ「巨赤芽球性貧血」となりますが、「妊婦の貧血」はビタミンB12では治癒しません。

葉酸の効果

葉酸の働きはタンパク質の合成開始や、一部のアミノ酸代謝などに関わっており、多岐にわたります。また、全身のすべての細胞に存在している核酸の生合成にも、葉酸が必要です。

核酸とは、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)の総称で、主に遺伝子情報を伝え、タンパク合成に関わる働きを担っています。そのため、葉酸が不足すると核酸の合成に支障が生じてしまい、全身のすべての種類の細胞(約270種類)の分裂や分化に影響が現れます。

とくに、分裂や分化が活発な細胞ほど、その影響を大きく受けやすいと考えられます。そして、もう一つ重要なことは、それらの葉酸の働きは同じビタミンB群と協働して発揮されるという点です。葉酸の働きを十分に生かすために、葉酸とともに他のビタミンB群の摂取量にも気を付けるようにしましょう。ビタミンB群の中でも特に、ナイアシン(B3)は、ビタミン剤やサプリメント型食品に使用されている葉酸に変換するときに必要です。

妊娠時の葉酸の働き

お腹の中の赤ちゃんは細胞の分裂・複製や分化が急速に進行しています。葉酸の重要な働きの一つは、細胞の分裂・複製や分化に関わっていることです。

そのため、赤ちゃんができた時点から、お母さんの葉酸依存性の酵素反応系が非常に活発化しています。葉酸補酵素代謝系がスムーズに動かないと、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクが上昇しますので積極的にサプリメントなどから葉酸を摂るようにしましょう。

妊娠前からの摂取が大切

神経管閉塞障害とは人間の脳や脊髄を作る神経管が妊娠初期に正常な形成が行われないことによって起こる障害で、脊髄に異常が起こることに起因する運動機能障害や脳が形成されない無脳症といった病気を指し、妊娠6週ごろに発症します。

妊娠6週で赤ちゃんの神経管が閉鎖するということは、受精から妊娠6週までの間の葉酸の摂取が重要ということです。そのため、妊娠する可能性のある女性や、妊娠を計画している女性は、常に葉酸を十分摂るようにしましょう。葉酸をサプリメントなどで摂り始めてから、血液中の葉酸濃度が安定するまでに、8週間ほどかかるとされています。

赤ちゃんに神経管閉鎖障害が生じるリスクを抑制するために必要とされる葉酸の量を、一般の食品のみから摂取するのは難しいため、サプリメントの葉酸の利用が推奨されています。

日本では推定で年間500~600人が神経管閉鎖障害で生まれてきていると推計されています。妊娠の成立から胎盤の形成それに続く妊娠中の全期間を通じて、赤ちゃんの発育のために葉酸補酵素が必要です。妊娠中に葉酸の補酵素代謝系がスムーズに働かない場合は、ホモシステインという酸化力の強いアミノ酸の蓄積を招き、それによって妊娠高血圧腎症や常位胎盤早期剥離、死産、早産などのリスクを高める可能性が指摘されています。また、出産後の授乳中にも、赤ちゃんに葉酸を届けるために、授乳婦は需要の高い状態が続きます。

なお、女性だけでなく男性についても、葉酸の十分な摂取が精子の質や妊娠率の向上に役立つという報告があるようです。

しかしながら、葉酸は「妊娠しやすくなる栄養素」ではなく「赤ちゃんのための栄養素」であることを覚えておいてください。一方で神経管閉塞障害には様々な要因が絡んでいますので、葉酸摂取だけで発症を防ぐことは難しいこともあります。また、神経管閉塞障害の赤ちゃんが産まれても、その原因が葉酸の摂取不足であると断定することは出来ないということも付け加えておきます。

葉酸が多く含まれる食べ物

葉酸は、ほうれん草のような濃い緑色の野菜に多く含まれています。

レバーにも葉酸が豊富に含まれています。また、レバーには、葉酸とともに摂取することで貧血予防などに働く、ビタミンB12も豊富です。

その他に、卵や乳製品、きなこ、納豆なども比較的、葉酸含有量が多い食品として挙げられます。また、日本人によく飲まれている緑茶は、茶種の中では葉酸を多く含んでいて、とくに玉露は多く、1杯で推定平均必要量の1割以上の葉酸を摂取できます。

また、レバーには特に多くの葉酸が含まれていますが、同時にビタミンAも非常に多く含まれています。ビタミンAも身体には必要な栄養素の一つですが、ビタミンAは脂溶性のビタミンであるため体内に蓄積されやすく、過剰に摂り過ぎるとビタミンA過剰症となってしまいます。ビタミンA過剰症になると頭痛や吐き気、肝脾腫大、関節痛などが引き起こされ、妊娠中では胎児にも悪影響であると報告されています。

また、レバーの生食での提供・販売は食中毒などの原因になるため食品衛生法によって禁じられています。レバーを食べる時は必ず加熱して過度の摂取にはくれぐれも注意してください。

葉酸を効率よく摂るポイント

葉酸の吸収や代謝には、ビタミンCやビタミンB2・B6・B12、ナイアシン(ビタミンB3)、亜鉛といった微量栄養素が深く関係しています。そのため、葉酸の摂取量だけを気にかけるのではなく、それらの栄養素も同時に摂取することを心がけると、葉酸が体の中でより働きやすくなります。

葉酸は、光に対して不安定で、また水溶性ビタミンであるため、水にさらすと失われやすいという特徴があります。調理の際に食材から葉酸を効率的に摂りたい場合は、なるべくゆでたりせず、炒めるなど、水を使わずにできる調理法をとるようにしてみるとよいでしょう。

葉酸が不足すると

妊娠中に葉酸が不足・欠乏した場合の大きな問題として、胎児への影響が挙げられます。妊娠前から葉酸が不足しないように心がけることが大切です。

また、成人でも葉酸が不足・欠乏してくると、貧血が起きやすくなったり、神経症状、例えば足のしびれや腱反射の消失、舌のしびれや味覚異常などが現れやすくなります。貧血というと、立ちくらみなどがその症状だと思われるかもしれませんが、それは「脳貧血」と呼ばれる症状で、血圧の調節異常などで生じるものです。

一方、葉酸の不足・欠乏などで起こる貧血とは、血液中の酸素を運搬するヘモグロビンが少なくなっている状態のことを指し、息切れや動悸、めまいなどが現れやすくなります。さらに、葉酸が不足・欠乏していると、動脈硬化が進みやすくなったり、不足していない人に比べて認知機能が低下していたり、うつの度合いが高い人が多いという報告もあります。

葉酸は水溶性ビタミンであり、体の中に貯めておくことができないので、不足・欠乏しないように継続して摂取することが大切です。