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AMH(アンチミューラリアホルモン)とは?AMH値の正常値は?

公開:2022.11.14

基礎知識

AMH値は卵巣に成長途中の卵子がどれだけあるかを示すものです。AMH値が低いと卵子の数が少なくなってきているということであり、採卵しても取れる個数は少なくなってくるので、採卵を何度かしなければならないこともあります。また、自然排卵が起こりにくいだけでなく、排卵誘発に反応しないことが多くなり、卵胞が発育しないということがあります。体外受精を行うにあたっては、採取できる卵子の個数とも相関があり体外受精の卵巣刺激法決定の判断材料の1つとなります。

AMH検査は個人差がかなり大きく、20代の方でも卵巣年齢が40代であったり、その逆で、40代の方でも卵巣年齢がとても若い方もいらっしゃいます。そのため、患者様の年齢やAMH値、患者様のご希望に沿って治療を進めていきます。

AMH検査で何が分かるか

よく誤解されるのが、AMH値が低い=妊娠率も低くなると思われがちなことです。たとえばAMH値を測っていないために知らないだけで、ほとんどゼロに近い数値でも自然に妊娠・出産している方もいます。

受精卵さえできれば、その方の年齢に応じた妊娠率はきちんと出ます。受精するまで利用できる卵が残っているかどうかが問題で、その卵が残っているかどうかを判断するのがAMHの測定なのです。

AMH検査は採血検査でわかります。月経周期のどのタイミングでも検査可能です。金額は、自費7,700円、体外受精希望の方のみ保険適用で約1,800円です。

AMHが高過ぎる場合は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の可能性がありますので注意が必要です。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは、卵胞内に2~9ミリの小さい卵胞がいくつも存在し、なかなか排卵せず、卵胞も大きく発育しにくくなります。気になる方は医師にご相談ください。

また、低用量ピルを内服中の場合、AMHが実際の数値より低く測定される可能性があるため、正しく知るためにはピルを1ヵ月以上休薬した後に検査をお勧めいたします。

AMHが低いと妊娠できないのか

AMHは妊娠率を語りません。卵の数が少ないということは妊娠率が低くなるということではなく、不妊治療をできる期間が限られてくる、ということを示すのであって、「AMHが低いからほとんど妊娠できない」ということではありません。

値が低ければ、閉経が近い可能性があり、卵巣機能低下がすぐそこまできているといえます。閉経は、通常は50才前後で迎えますが、20代女性の0.1%、30代女性の1%に早発閉経が起こります。AMH検査をすることで、早発閉経の可能性がないかどうかも知る助けとなります。

卵巣内の卵子の数は加齢とともに減っていくため、年齢を重ねることが原因で、AMHが減る傾向にあります。また、卵巣腫瘍や子宮内膜症などで卵管や卵巣を摘出した場合は、AMHが減少することが分かっています。

また、喫煙、卵巣の手術(卵巣嚢腫)、子宮内膜症(特にチョコレート嚢腫)などは年齢とは無関係にAMH値が低下する原因として知られています。

AMHの正常値?

AMH値は年齢と相関関係は認められておりません。

個人差が大きく20代、30代でも数値にばらつきが見られます。検査を受けるとご自身の値が正常値なのかどうか気になるかと思いますが、前述の理由によりAMH値では「正常値」は設定されておりません。

しかし、年代別にAMH値をみると、年齢と共に減少するいう傾向はみられます。統計上の平均値はとることは可能で、一般的な同年齢と比較し一つの指標として卵巣予備能が多いか少ないかを判断することはできます。


出典:株式会社ビー・エム・エル「AMH(抗ミュラー管ホルモン)」補足情報

なお、AMH値は高ければ良いかというと、そうでもありません。PCOS(多嚢胞卵巣症候群)では、成熟しない卵胞がたくさん育つためAMHが高くなる(6.8ng/ml以上)可能性があります。その場合は、採卵の卵巣刺激方法を工夫しなければなりません。これより低くて3ng/ml以上であれば、卵胞の数としては問題ないでしょう。実年齢と合わせて考えて、不妊治療のステップアップをどうするか、いろいろ選択する余地があるといえます。

しかし、2ng/mlを下回ってくると、少し厳しいでしょう。これは40歳以上の方で多くなるので、もし、30代でも2ng/mlより低かったら、少しでも早く、生殖医療に取り組んでステップアップした方がよさそうだといえます。1ng/mlより低くなると、かなり厳しくなります。45歳以上相当になってくるからです。かなり強力な排卵誘発が必要になりますが、成功率を考慮すると自然に任せるという選択肢もあると思います。

体内にある卵子の数は生まれつき決まっていて増えることはなく、徐々に減っていきます。卵子の数は人それぞれ異なるので、現時点で自分に卵子がどれくらい残っているかを確認することは、非常に重要なことです。

AMH値は、あくまで卵子の数の目安であって、卵子の質の良し悪しを表すものではありません。卵子の質に関しては、年齢と一番相関が認められているので、AMH値が低いから妊娠の可能性が低くなるわけではありません。ただし、AMH値が低いと卵子の数が少ないことになるので、妊娠できる期間が短いことを意味します。また、AMH値が低くても妊娠できる可能性はありますので、自分の状態をきちんと把握し、治療を進めていくことが大切です。