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精子の質を向上させるためにナッツ類を食べましょう(男性不妊と食事)

2018.07.26 男性不妊

桜十字渋谷バースクリニック培養部です。

皆さん『NST』という言葉をご存知でしょうか?

NSTとは栄養支援チーム(Nutrition Support Team)のことで、基本的な栄養管理サポートを医師・看護師・検査技師・栄養士などが職種の壁を超えて行うチームの事を言います。

疾病や怪我に対して適切な栄養管理を行うことで、より早く治癒を目指すことを目的とし、NSTは欧米や欧州諸国では非常に広く普及しています。しかしながら日本では、その有用性について議論されているものの、まだまだ一般的ではないという現状があります。

我々は、多くの患者さまの治療に役立てるよう、また少しでも早く赤ちゃんに出会えるよう、栄養サポートという観点からも情報を発信していきたいと考えています。

精子の質を向上させる可能性が示唆される、ある『食品』

というわけで今回は、2018年7月初旬にスペイン・バルセロナで開催されたヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)での発表から、精子の質を向上させる可能性が示唆される、ある『食品』についてご紹介します。

スペイン・Rovira i Virgili大学のAlbert Salas-Huetos博士は、ある『食品』について着目し、その食品が精子の質を向上させるのではないかと示唆しています。

その食品とはずばり “ナッツ” 類です。

Salas-Huetos博士らの研究チームは、18歳~35歳までの119人の健康な男性を、ランダムに2つのグループに分け、1つのグループにはアーモンド・ヘーゼルナッツ・クルミなどのナッツ類を1日60グラム(2オンス)、14週間に渡って摂取させ、もう一方のグループには普段通りの生活を送ってもらいました。

すると、ナッツ類を摂取したグループでは、精子濃度(約14%↑)、運動率(約6%↑)、形態評価(約1%↑)などすべての項目でデータが向上したと述べています。

先行研究より、オメガ3脂肪酸、抗酸化物質、葉酸をはじめとするビタミンB群などが豊富に含まれる食品を積極的に摂取することで、女性においても男性においても妊孕性を向上させる可能性が示唆されていました。

本研究では、これらの栄養素を多く含むナッツ類を摂取したことで精子の質が向上したことから、Salas-Huetos博士は「これらの論文は、健全な食生活と健康的な生活習慣が妊娠を助けるという多くの文献をより明確なものにし、証拠として蓄積されている」と語っています。

一方で、この研究は一般的な健康的な男性を対象としたものであるため、男性不妊など専門的な治療が必要なケースでは、このような食生活の改善だけでは妊孕性が向上するとは言い難いとも付け加えています。

 

英・ロンドンのガイズ病院で顧問を務める臨床胚培養士のVirginia Bolton博士は、本研究を「学術的に非常に興味深い」と述べるとともに、違う視点からも着目しています。

ナッツ類には『トリプトファン』というアミノ酸が豊富に含まれており、トリプトファンは体内に取り込まれると、セロトニンやメラトニンというホルモンの材料になります。

セロトニンには精神を安定させる作用や鎮痛作用あり、またメラトニンには入眠を促す作用があり自然な睡眠周期を整えます。そのため、身体の恒常性を保つのに必須の物質です。

Bolton博士は、「今回の研究では検討されてはいないが、ナッツを摂取していた被験者達には、精子データの向上以外にも、なにか“人生にプラスの変化”をもたらした可能性もあるのではないか?」と考察しています。

 

アーモンド1個の重さが約1グラム程度なので、60グラムというと結構な量という印象がありますが、料理に加えるなど工夫をして、積極的に摂取をしてみるのも良いかもしれません。

 

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