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人工授精と体外受精

公開:2023.02.20

基礎知識検査・治療法

今回は、人工授精と体外受精等の生殖補助医療(高度生殖医療)の違いについてご説明いたします。

人工授精と体外受精の違い

不妊治療では、年齢や不妊歴等を考慮しながら、治療法を変えていくステップアップ治療が行われます。一定期間、治療法を試して効果が出なければ、次の治療へステップアップしていくという考え方は、患者さまの心身や経済的負担を軽減し、妊娠確率を高めるというメリットがあります。次項で、人工授精と体外受精の違いについてご説明いたします。

人工授精

  • 特徴
    排卵に合わせて、処理した精子を子宮内に注入します。あらかじめ精液を洗浄しておき、優良な精子を選別する方法です。活発に運動している精子を集めることで、卵管まで精子が辿り着きやすくする可能性を高めます。洗浄後、子宮の中へ送り込む支援をし、あとは精子と卵子の力に任せて妊娠を目指す治療法です。「人工」という言葉から自然ではない治療をイメージされる方が多いようですが、実際は体外受精より自然妊娠に近い形での治療となります。
  • 費用
    1周期 約12,000円(保険)
  • 妊娠率
    およそ10%程度
  • 通院回数
    およそ1サイクルで3~4回
  • 合併症リスク
    まれに子宮内や腹腔内感染があります。

体外受精

  • 特徴
    卵胞から採卵した卵子と精子を体外で受精させ支援する方法です。採卵した卵子に精子をふりかけて、精子が自然と受精するのを待ちます。そして、受精卵ができて順調に成長したら、子宮内に戻します。また、内服と注射で排卵をコントロールしながら卵子を育てていきます。卵1個に対し動いている1精子があればいいので、男性不妊の障害もかなりクリアできます。
  • 費用
    【保険の場合】
    採卵周期(先進医療費込):約¥170,000
    移植周期(先進医療費込):約¥110,000~¥120,000
    計:約¥300,000
    【自費の場合】
    採卵周期(先進医療費込):約¥400,000
    移植周期(先進医療費込):約¥300,000
    計:約¥700,000
  • 妊娠率
    およそ40%程度
  • 通院回数
    1)採卵周期・移植周期それぞれ5回程度
    2)通院に加え、自己投与できる注射剤や内服による治療を行います。
  • 合併症リスク
    【注射剤による症状】
    卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
    【採卵時のリスク】
    静脈麻酔による嘔気・嘔吐、呼吸抑制、血圧低下など
    膣壁・腹腔内の出血
    骨盤内炎症性疾患

不妊治療のステップアップ

当クリニックでは、患者様のご希望や診断結果に応じた不妊治療をご提案の上で開始していきます。一定期間の治療で妊娠しない場合には、順を追って治療方法をステップアップしますが、タイミングは患者様のご年齢やご希望により異なりますので、状況に応じた治療を提案させて頂きます。