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体外受精・胚移植後の過ごし方

公開:2023.03.06 最終更新:2024.01.22

基礎知識不妊と食事生活習慣

体外受精・胚移植(ET)後の過ごし方について、生活習慣や仕事などの影響が気になる方が多くいらっしゃいます。今回は、よくご質問をいただく内容についてお話させていただきます。

食べ物

体外受精・胚移植(ET)後の食事、食べ物はどのような物が適切でしょうか。オリーブオイルやキウイ等に含まれる抗酸化物質は卵の質を高め、ビタミンDに代表されるように着床環境を整える効果が報告されています。このビタミンDは食事での摂取はなかなか難しいため、サプリメントでの摂取がお勧めです。また、極度に冷たいものを摂取して身体を冷やし過ぎないようにしましょう。

参考記事:妊活中に摂りたい栄養素とおすすめ食材(キムチやパイナップル)

体外受精・胚移植後の飲酒

飲酒が体外受精に及ぼす影響についての医学的なエビデンスはありませんが、体外受精に関わらず不妊治療は妊娠に向かっての治療を行いますので、禁酒をお勧めしております。不妊治療中の飲酒についてはご夫婦で一度相談をしてはいかがでしょうか。

カフェイン

世界保健機関(WHO)は流産や新生児の低体重リスクを低減するために、1日のカフェイン摂取量が300mgを越える妊婦に対して妊娠中はカフェイン摂取量を制限するように注意喚起をしています。いずれも摂り過ぎはよくない、ということですので適度な量を心がけることが大切です。

入浴・シャワー

胚移植の当日は入浴を避けシャワーのみにしましょう。移植への影響はありませんが、傷口から感染症を起こす可能性が考えられます。翌日からは血流を促す目的で湯船にしっかり入ることをお勧めします。ただし、長風呂は避けましょう。なお、移植当日はプールに入るのもお控えください。

喫煙

喫煙することにより、卵巣の排卵機能低下を引き起こすとされています。また、卵子の質の低下や染色体異常の卵子増加、子宮内膜血流低下から子宮性不妊症も発生し、着床しにくいことなどが報告されていますので、喫煙は控えていただくことをお勧めします。

体外受精・胚移植後の運動

受精卵が着床するまで、じっと動かない方が良いと思われがちですが、近年では胚移植後に院内で安静を保つ指導もされなくなってきています。また、血流が滞る可能性がありますので横になるばかりではなく通勤や買い物などで適度に動いて頂いた方が良いとされています。その際、ウォーキングのような適度な運動は問題ありませんが、運動強度が強いものは避けましょう。

体外受精・胚移植から何日で着床するか

移植してから約3〜5日後が一般的な目安になっています。移植後は黄体ホルモン剤を内服し、子宮内膜を厚くして着床しやすくする環境を整えます。妊娠判定は胚移植後12日目(胚盤胞移植のときは7~9日目)頃に行います。体外受精・胚移植の場合でも移植した胚が子宮腔以外の場所に着床し、子宮外妊娠になる可能性があります。

まとめ

胚移植後は妊娠判定を迎える日まで気持ちが揺らいだり、不安になることが多いかと思いますが、神経質になる必要はありませんので、過度に気にし過ぎずしっかりと栄養のある食事を取りながら穏やかな気持ちで過ごすと良いでしょう。

日常生活はいつも通り過ごし、ストレスを溜めないようお過ごしください。

 

※当院の体外受精・顕微授精についてはこちらをご覧ください。