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高プロラクチン血症

2018.10.15 基礎知識

桜十字渋谷バースクリニック検査部です。

今回は不妊原因の排卵因子の一つである高プロラクチン血症についてお話ししたいと思います。

高プロラクチン血症とは?

プロラクチンとは脳の下垂体で分泌されるホルモンで、生理作用としては妊娠中に乳腺を発達させたり、産褥期(出産後6~8週間程度まで)に乳汁の産生を促進するホルモンです。

高プロラクチン血症とは、授乳期間中でないにもかかわらず、血中プロラクチン濃度が通常よりも高くなってしまうことです。これが原因で不妊に結びつきます。

妊娠・産褥期以外の時期に何らかの原因でプロラクチンが上昇すると排卵が障害されたり、無月経や稀発月経がおこり、その結果不妊につながってしまいます。プロラクチンはもともと産褥期など母体の回復が必要な時期にまたすぐ妊娠することがないよう、排卵を止めるようにコントロールしているからです。

また、プロラクチンは乳児から乳首を刺激されることによりたくさん分泌されます。
乳首への刺激は子宮を収縮させ、産後の子宮の回復を早める働きがあります。
この期間妊娠してしまうと母体への負担だけでなく、子宮が収縮し、お腹の子供に早産などの危険が伴います。

プロラクチンの分泌

ではプロラクチンはどのようにからだに作用しているのでしょうか?

上図のように、プロラクチンは脳の下垂体から分泌されていますが、その分泌は脳の視床下部からでる放出抑制因子 PIF(Prolactin Inhibiting Factor)と放出促進因子 PRF(Prolactin Releasing Factor)により調節されています。

主なPIFはドパミン、主なPRFは甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン TRH(Thyrotropin Releasing Hormone)です。
普段はPIFによる抑制のほうが優位に働いているため、プロラクチン値は正常に保たれています。
しかし、ドパミンを抑えるような作用があるお薬(抗うつ剤や消化器薬 等)の服用によって、プロラクチンを抑制する作用が弱まるとプロラクチンが基準値よりも高くなり、高プロラクチン血症になります。

また、何らかの原因で甲状腺機能が低下すると、それを補おうと甲状腺ホルモンを分泌させる作用があるTRHがたくさん分泌され、TRHの上昇に伴いプロラクチンも上昇して、高プロラクチン血症になってしまいます。
その他にも、下垂体にプロラクチンを産生する細胞が異常増殖してできたプロラクチノーマという腫瘍ができた場合も、通常よりプロラクチンが産生されることにより高プロラクチン血症となります。

加えて、プロラクチンが上昇することにより、卵胞を育てるホルモである卵胞刺激ホルモン(FSH)や排卵を促すホルモン黄体形成ホルモン(LH)の分泌が抑制されてしまい、その結果、排卵が障害されたり、無月経になってしまいます。

以上のようにプロラクチンは様々なホルモンと相関しながら存在しており、高値になると妊娠を邪魔するホルモンの一つです。

プロラクチン濃度は採血で調べることができます。血液検査によりプロラクチンが高値で不妊への影響が大きい場合、まずこの治療から始めます。当院では院内にある機械でプロラクチン濃度を即日検査可能ですので、不妊期間が長くなる前に一度受診をおすすめします。