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妊娠に重要な栄養素『ビタミンD』と『カルシウム』のお話し ~Part.4~

2018.10.27 研究結果

桜十字渋谷バースクリニック培養部です。

前回、『ビタミンD』の量が不足している女性では、細菌性腟炎の罹患率が上昇すること、そしてアメリカでは、国が推奨しているビタミンD摂取量を、4人に1人しか十分に摂れていないという研究をご紹介しました(こちら)

 

現代の女性の“『ビタミンD』・『カルシウム』不足”は、日本を含むアジア全体でも深刻な問題となっています。

2010年にシンガポールで開催された第1回 アジア太平洋骨粗しょう症会議において、議会員であるインドのNikhil Tandon博士は、「アジア地域における、ビタミンDならびにカルシウムの欠乏は、現在重大な懸念事項となりつつある。特定の地域における大気汚染、都市部の人口増加、皮膚の色素沈着、遺伝形質の多様化、食習慣の変化、衣服の変化(※伝統的な衣服から現代的なファッションへの変化)などは、すべてこれら栄養素の濃度に大きな影響を与える要因となる」と述べています。

 

また『ビタミンD』『カルシウム』の不足は、成人女性の健康のみならず、妊娠中の胎児の健康にも大きな影響を及ぼします。
今回は、Public Library of Science社より刊行されている世界最大のオープンアクセスジャーナルであるPLOS Oneより、これら栄養素の胎児へ与える影響についての最新の論文をご紹介いたします。

 

ノルウェー・トロンハイムNorwegian University of Science and Technology(NTNU)の研究チームによると、ノルウェー国内において、ビタミンD欠乏症を有する妊婦の割合がここ数年で50%以上に上昇し、妊婦3人に1人は出産時にビタミンD欠乏症があると指摘しています。また、それらの影響によって、新生児に疾病を発症するリスクが増加することも示唆しています。

 

ノルウェー・St. Olavs病院のシニアコンサルタントで、NTNU公衆衛生学のMiriam K. Gustafsson博士は、ノルウェー国内でビタミンD欠乏症の妊婦が増加している点に着目し、胎児に対してどのような影響があるのかを調べるための調査を行いました。

 

本研究では、トロンハイムおよびスタヴァンゲル両都市の妊婦855人を抽出し、一定期間ごとにビタミンDの血中濃度を測定しました。
その結果、妊娠中期の測定では、トロンハイムの女性の約47%、スタヴァンゲルの女性の約51%がビタミンD欠乏の値を示しました。また、妊娠後期および出産時の測定では全体の約34%の女性にビタミンD欠乏が認められたことを示しました。

 

妊娠中期に重度のビタミンD欠乏が認められた妊婦では、正常な値を示した妊婦と比較し、子癇前症や妊娠糖尿病の罹患率が有意に増加し、早産となる確率も増加していたと指摘しています。

 

また、オーストラリアの先行研究において、ビタミンD欠乏の妊婦から産まれた新生児では、カルシウムの活性が減少し“骨量”が低下することが示されていましたが、本研究でも同様の結果が得られたとしています。さらに、これらの児について追跡調査を行ったところ、くる病などの骨格異常、小児喘息、心血管疾患の発症リスクが高かったことも示しました。

 

『ビタミンD』は、『カルシウム』を腸で吸収するために必要な栄養素であり、妊娠中では胎児の骨量を増やし、成長・発育を維持します。そのため、胎児の発育に十分なカルシウムを確保するためにはビタミンDは必要不可欠となります。

 

Gustafsson博士は、「現在、妊娠の前後に推奨される栄養補給剤として『葉酸』を服用する女性が増えており、『葉酸』が脊髄欠損のリスクを低減できるという知見は世界中で高く評価されているが、近年では、様々な研究結果から、ビタミンDやカルシウムの重要性に関する知見も同じレベルに達してきていると考える」と述べています。

 

この論文の共著者でSt. Olavs病院のUnni Syversen医師は、「我々は、妊娠時に適切なビタミンDを効率よく得る方法として、タラやサメの肝油を一日一回摂取することを推奨している。また、週に2~3回魚料理を摂取するだけでも、確かな効果は見られている」としています。

 

Gustafsson博士は、ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため体内依存度が高く、あくまで国や専門機関が定める推奨量を超えないことが重要であると前置きした上で、「妊娠中の女性にこれらの情報を積極的に提供することで、多くの児が救われる可能性がある。保健局や医療機関においては、臨床で働くスタッフに周知されることも重要だ」と述べています。

 

女性の健康のためにはもちろんのこと、何よりも赤ちゃんのために、妊娠の前から必要な栄養素をバランスよく摂取し、赤ちゃんを迎える準備ができるように心がけましょう。