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女性の“生殖可能年齢”には、日々の食事が深く関わっている?(不妊と食事)

2018.12.18 研究結果

桜十字渋谷バースクリニック培養部です。

皆さんは、ヒトの“生殖可能年齢(妊娠が可能な年齢)”というのをご存知でしょうか?

『生理が始まってから閉経を迎えるまで』と思われている方。

教科書的にはそうかもしれません。

 

ただ、実際のところは30代半ばから妊娠率は著しく低下していき、おおよそ閉経の約10年前から妊娠は難しくなると言われています。

しかしながら、先述の通り「生理があるうちは(閉経までは)妊娠できるんでしょ?」といった間違った知識を持っていらっしゃる方々が非常に多くおられ、同様に「40代半ばを過ぎても普通に妊娠できる」と信じ込んでいる方も非常に多くいらっしゃいます。

 

こんな話しをするとよく聞かれる質問が、

「じゃぁ、なぜ40代後半になっても生理があるの?」

「生理があるのは排卵してるからじゃないの?」

「排卵さえすれば、可能性は0%じゃないわよね?」

といったものです。

 

簡単に説明すると、ホルモンの機構のみで排卵はしなくとも生理は起こりますし、排卵していても、加齢によって卵子の質が著しく低下しているため、妊娠は難しいと考えられているわけです。

 

今回は、この“生殖可能年齢”が、日々の食事によって変動するかもしれないという興味深い論文が、社会医学・疫学分野で高い評価を受けている国際学術誌Journal of Epidemiology and Community Health, 2018, Volume 72 – 8に掲載されていましたのでご紹介していきたいと思います。

 

英・リーズ大学 栄養疫学研究グループのYashvee Dunneram博士は、魚料理や、エンドウ豆・レンズ豆・ヒヨコ豆といった豆類を摂取する機会が多いほど閉経までの期間が延長し、反対に、パスタなど炭水化物を多く含む食事を摂取する機会が多いほど閉経までの時間が短縮すると指摘しています。

 

Dunneram博士は、自然閉経(少なくとも12ヶ月連続して生理が認められない)を経ている英国国内の40歳以上の女性914人を対象として、身長・体重、生殖歴、家族構成の他、閉経と食事との関連性を評価するための調査を行いました。

 

その結果、魚料理や豆類を多く摂取していた女性ほど閉経までの期間が延長し(イギリスの女性の平均閉経年齢51歳より0.9歳~3.3歳 延長↑)、反対にパスタなどの炭水化物を多く摂取していた女性ほど、早期閉経に高い関連性を示す(平均1.5歳 短縮↓)ことが示唆されました。

 

また、魚料理や豆類を多く摂取していた女性では、ビタミンB6や亜鉛といった栄養素の摂取も有意に高く、バランスの取れた食事を摂取していたことも示されました。

 

Dunneram博士は、魚の油に豊富に含まれるオメガ3脂肪酸や豆類に含まれる様々な抗酸化物質が、ホルモンレベルの安定に寄与し、女性の健康に大きく貢献しているのではないかと考察しています。

(※魚料理が妊娠に良い影響を与えることについては、過去にもスタッフブログでご紹介していますので、こちらもご参照ください。)

 

閉経は、妊娠を考える女性にとっては大変な懸念事項であることはもちろん、早期に閉経を迎えることは、骨粗鬆症や心臓病、うつ病などのリスクが顕著に高くなるなど、女性の健康に対して大きな影響を与えることが先行研究より既に示されています。

 

本論文の共著者で同大学研究責任者のJanet Cade教授は、「もちろん遺伝的な要因を無視することは出来ないが…」と前置きした上で、「閉経までの期間に個人差がある中で、一部の女性が早く閉経する理由についての知識は現状限られたものでしか無い。様々なリスク評価をする中で、本研究は新たな知見の一部として貢献できるものである」と述べています。

 

また、Dunneram博士は、「“食事を選択”が、女性の生殖年齢に対しどれほどの大きな影響を与えているかはわからないが、食生活が身体の様々な健康状態に関与している事は多くの研究より確かであり、特に遺伝的要因や合併症などが既にわかっている女性にとっては、本研究は非常に有益な情報に成り得る」としています。

 

上記のような食生活を送れば閉経までの期間が延ばせるのか?あるいは、閉経までの期間が長ければ妊娠する可能性が上がるか?と言われると、100%そのまま当てはまるとは言い難いですが、健康的な食生活を送ることで、疾病のリスクを減らし、妊娠の機会を増やす可能性は大いにありそうですね。