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不妊について知ろう!【第20回 免疫因子-抗精子抗体-】

2019.10.25 基礎知識

桜十字渋谷バースクリニック、培養部です。

 

今回は抗精子抗体とフーナーテストのお話です。

 

フーナーテストとは、排卵日に性交し、その後3~12時間以内に子宮頚管の粘液を採取し、顕微鏡で観察して、そこに運動性を保った精子がいくつ存在しているかを調べる検査です。

この検査は、体調にも左右されますし、絶対的なものではないので、もし結果が不良の場合は複数回行うこともあります。

精液検査の値が正常であるにもかかわらず、フーナーテストの結果が不良である場合には、抗精子抗体を持っている可能性があります。

 

抗精子抗体とは、精子を攻撃する抗体のことで、抗精子抗体と精子が結合してしまうことで、精子は運動を停止させてしまいます。

また、この抗体は男性も陽性になることがあります。本来、男性の体の中においては、精子と自分自身の血液とは接触しないようになっているものですが、精巣、精巣上体、精管に炎症があって、精子が直接血液と接してしまうと、自己免疫として抗精子抗体が出来あがってしまいます。男性に抗精子抗体があると、精液検査で精子の凝集反応として認められます。こういった場合、精子の凝集塊があっても、動いている精子がたくさんいれば、自然妊娠や人工的に精子を子宮内に注入する人工授精(AIH)での妊娠も可能性はゼロではありません。

ほとんどの精子の運動性が無く、凝集しているのであれば、顕微授精による体外受精で妊娠は可能です。

抗精子抗体には、精子の動きを止めてしまうもの(不動化抗体)、精子同士をくっつけるもの(凝集抗体)、精子の受精機能を破壊するもの(受精阻害抗体)があることが確認されています。

この抗体は、女性の頚管粘液、子宮腔、卵管などの中に存在します。つまり、通常精子が卵子と受精するための通り道に抗精子抗体が存在しており、精子が卵子まで到達することが難しいため一般的には抗精子抗体があると自然妊娠は難しいとされています。

そのため、抗精子抗体が陽性の場合は基本的には体外受精または顕微授精を行うことお薦めします。

体外受精や顕微授精であれば、体外で卵子と精子を受精させますので抗精子抗体の影響を受けないため、妊娠の可能性は十分にあると言えます。