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卵管鏡下卵管形成術(FT)と卵管因子による不妊症

公開:2019.04.19 最終更新:2021.01.14

検査・治療法

こんにちは

桜十字渋谷バースクリニック院長の井上です。

自然に近い妊娠を希望されていても、両側の卵管が詰まっていた場合は精子と卵子が出会えないわけですから、タイミング法での妊娠はもとより、人工授精(AIH)での妊娠も不可能だということになります。

不妊症の原因として卵管因子は一般的であり、女性不妊症の20〜30%を占めているといわれています。

体外受精が行われるようになり、卵管性不妊症に対する治療法は開腹手術での卵管の再開通手術から体外受精に移行しました。しかし、卵管鏡下卵管形成術(Falloposcopic Tuboplasty:FT)が開発され、卵管閉塞・狭窄を解除できれば、体外受精でなく自然での妊娠も可能となりました。

本日はこの卵管鏡下卵管形成術(Falloposcopic Tuboplasty:FT)についてご紹介いたします。

卵管鏡下卵管形成術(FT)とは?

卵管性不妊症の中で年齢が若く自然妊娠をご希望される方にはFTを勧めることがあります。FTは腟から子宮内にカテーテルを挿入し、卵管内の閉塞・狭窄部位付近で風船を膨らませることで卵管を拡張し、閉塞・狭窄を解除する方法です。FTは子宮側の卵管閉塞・狭窄(近位部病変)には良い適応と考えられますが、遠位部の病変には適応がありません。

FTは低侵襲であり保険適応もありますが、卵管鏡は0.6mm、0.5mmととても細いため、解像度が悪く観察しにくく、壊れやすいというデメリットもあります。今までは卵管にFTバルーンを挿入することが困難であることもありました。

しかし、当院では子宮鏡で卵管にFTカテーテルのバルーンが挿入されていることを直接確認しながら手術を行います。この作業により、より安全で確実に卵管内にカテーテルを挿入することができるようになりました。

FTによる卵管開通率は90%以上で妊娠率は約30%と報告されており、自然妊娠を希望される多くの患者様が適応となります。

しかし、その効果は永続的ではなく手術後6–8ヶ月を過ぎると妊娠率が低下します。FTを施行後6ヶ月程度はタイミング療法や人工授精を試みますが、それでも妊娠に至らない場合には、再度FTを行うか、体外受精へのstep upをおすすめしています。

概要

  • 適応
    子宮卵管造影検査(HSG)、子宮鏡下卵管通色素検査にて卵管の狭窄や閉塞していると診断された方で年齢が若く自然妊娠を希望される方が適応になります。卵管遠位部(卵巣側)の卵管病変はFTの適応にはなりません。
  • 手術前検査
    感染症、凝固、腎機能などの採血検査(他院の結果持参の場合は6ヶ月以内のものをお持ちください。)
    心電図検査
  • 手術
    日帰り手術となります。
    手術当日は13時45分まで当院に来院していただきます。
    手術時間は30~1時間程度になります。
    静脈麻酔での全身麻酔で眠っていただいた状態での手術になります。
  • 費用
    健康保険適応手術です。
    片側:約15万円  両側:約30万円
    ※一部を除いて高額療養費制度の適応になります。限度額適用認定証の提示がある場合、自己負担限度額までのお支払いになります。(詳しくはスタッフまでお尋ねください)
  • 実施時期
    生理後であればいつでも可能です。
    手術日は第1/3/5金曜日になります。
  • リスクと副作用
    子宮鏡の挿入による出血、卵管壁の穿孔などの合併症の可能性。
    麻酔薬、予防投与の抗生剤でのアレルギー反応が見られる場合があります。

 

FTは入院しなくとも外来ベースで受けることができ、仕事と不妊治療を両立させたい女性にとっては仕事を何日も休まずに済みます。

リスクもありますので、主治医とよく相談をして治療方針を決めていただければと思います。

 

※当クリニックの卵管鏡下卵管形成術(FT)を含む外来手術についてはこちらをご覧ください。