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【院長ブログ】卵管因子と卵管鏡下卵管形成術(FT)について

2019.04.19 検査・治療法

こんにちは

桜十字渋谷バースクリニック院長の井上です。

自然に近い妊娠を希望されていても、両側の卵管が詰まっていた場合は、精子と卵子が出会えないわけですから、タイミング法での妊娠はもとより、人工授精(AIH)での妊娠も不可能だということになります。

不妊症の原因として卵管因子は一般的であり、女性不妊症の20〜30%を占めているといわれています。

体外受精が行われるようになり、卵管性不妊症に対する治療法は、開腹手術での卵管の再開通手術から体外受精に移行しました。しかし、卵管鏡下卵管形成術(Falloposcopic Tuboplasty:FT)が開発され、卵管閉塞・狭窄を解除できれば、体外受精でなく自然での妊娠も可能となりました。

 

本日はこの卵管鏡下卵管形成術(Falloposcopic Tuboplasty:FT)についてご紹介いたします。

 

卵管性不妊症の中で、年齢が若く自然妊娠をご希望される方は、FTを勧めることがあります。FTは腟から子宮内にカテーテルを挿入し、卵管内の閉塞・狭窄部位付近で風船を膨らませることで、卵管を拡張し、閉塞・狭窄を解除する方法です。FTは子宮側の卵管閉塞・狭窄(近位部病変)には良い適応と考えられますが、遠位部の病変には適応がありません。

 

FTは低侵襲であり、保険適応もありますが、卵管鏡は、0.6mm、0.5mmととても細いため、解像度がわるく観察しにくく、壊れやすいというデメリットもあります。

 

今まで、卵管にFTバルーンを挿入することが困難であることもありました。

しかし、当院では子宮鏡で直接卵管にFTカテーテルのバルーンが挿入されていることを確認しながら手術を行います。この作業により、より安全で確実に卵管内にカテーテルを挿入することができるようになりました。

 

FTによる卵管開通率は90%以上で、妊娠率は約30%と報告されており、自然妊娠を希望される多くの患者様が適応となります。

しかし、その効果は永続的ではなく、手術後6–8ヶ月を過ぎると、妊娠率が低下します。FTを施行後6ヶ月程度は、タイミング療法や人工授精を試みますが、それでも妊娠に至らない場合には、再度FTを行うか、体外受精へのstep upをおすすめしています。

FTは、入院しなくとも外来ベースで受けることができ、仕事と不妊治療を両立させたい女性にとっては、仕事を何日も休まずに済みます。

リスクもありますので、主治医とよく相談をして治療方針を決めていただければと思います。

 

卵管鏡下卵管形成術(FT)を含む外来手術についてはこちらをご覧ください。