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ホルモン補充周期でエストロゲン投与期間が生児獲得率に影響する?

公開:2018.06.25 最終更新:2021.01.14

研究結果

こんにちは

桜十字ウィメンズクリニック渋谷院長の井上です。

本日はホルモン補充周期でエストロゲン投与期間が生児獲得率に影響するかもしれないという報告をご紹介します。

Prolonged estrogen (E2) treatment prior to frozen-blastocyst transfer decreases the live birth rate

2018年5月に発表されたフランスの報告です。

ホルモン補充周期と自然周期

凍結融解胚移植の方法として下記の2種類があります。

  1. ホルモン補充周期法
    薬剤を使用して内膜を厚くする方法
  2. 自然周期法
    排卵させて胚移植する方法

この報告では前者のホルモン補充周期法を検討しています。エストロゲンにて子宮内膜を厚くし妊娠を試みますが、このエストロゲンの投与期間が生児獲得に影響するか調べた報告になります。

  • 胚移植前のエストロゲン投与期間は下記として検討しています。
    ①21日以下
    ②22−28日
    ③29−35日
    ④36−48日
  • エストロゲンの投与方法は経皮的に1日に0.2mgまたは1日2回4mg経口投与としています。
  • 子宮内膜の厚さが6mm未満またはプロゲステロン≧1.5ng / lであれば、胚移植はキャンセル。
  • プロゲステロンは1日3回200mgの用量で開始しています。
  • 852人の女性、1377個の胚盤胞移植が行われ比較検討されています。

結果

単変量解析(ひとつの項目のみで比較する方法)では、生児獲得率は③エストロゲン投与29−35日群(OR = 0.66; 0.46−0.95)および④エストロゲン投与36−48日群(OR = 0.49; 0.27~0.89)において、①エストロゲン投与21日以下と比較して有意に減少していました。流産率も④36−48日投与群(OR = 2.37; 1.12-5.05)が有意に高いという結果でした。さらに、新生児の平均出生体重が④エストロゲン投与36 -48日群(3042±801.2g)は対照群(3362±602.9g)と比較し有意に軽いという結果でした。

そこで多変量解析(単変量解析より信用できる解析。生児獲得率に影響する因子をみつける)を行った所、母体年齢(OR 0.72 95%CI [0.56-0.93])、良好胚の移植(OR = 1.74; 1.20-2.53)、およびエストロゲン投与期間が生児獲得率に影響する因子でありました。

まとめ

単変量解析でも多変量解析でもエストロゲン投与期間が生児獲得率に影響するようでした。また、エストロゲン投与36-48日群で出生体重が他の群より軽いというのも重要であり、さらなる報告も発表されるかもしれません。

しかし、この論文ではエストロゲンを36 -48日投与しても内膜が8.22mmなので、もともと内膜が厚くなりにくい方が含まれているのかもしれません。

めったにエストロゲン投与期間が36 -48日までいくことはありませんが、こういう報告があるということは覚えておいても良いかもしれません。

もっと大規模な前向き研究を期待しましょう。

 

IVF-ET(体外受精胚移植)についてはこちらをご覧ください。