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精液検査について その1(検査項目について)

公開:2021.05.15

検査・治療法男性不妊お知らせ

こんにちは、桜十字渋谷バースクリニック培養室です。

今回は男性不妊の検査に必要な、精液検査の検査項目についてお話します。

 

男性不妊について

卵管因子、子宮因子、免疫因子など様々な不妊原因の中で、男性因子が占める割合は50%程度と半数に及ぶと言われています。精液所見不良による男性因子は自覚症状に乏しく、精液検査は不妊検査で必須の項目です。

 

精液検査について

多くの施設ではWHOにより設定された下記基準値により精液所見を評価しています。

 

【WHO 精子検査マニュアル 5版】5%下限基準値

(★は当院で検査している項目です)

 

★ 精液液量 1.5ml

★ 精子濃度 15×10^6個

★ 総精子数 39×10^6

★ 総運動率 40%

★ 前進運動率 32%

★ 正常形態率 4%

  生存率 58%

 

WHOの基準値の各項目はそれぞれ妊娠率に関係していると報告されているものです。

精子濃度や総精子数、精子の運動性は妊娠までの期間や妊娠率に関係しています。

正常形態精子ではない精子(奇形精子)は一般的に卵子と受精する能力が低く、DNA断片化の増加、構造的な染色体異常、未熟染色体や異数体の発生率増加と関係していることがわかっています。

正常形態率が低い場合に、奇形精子が卵子と受精すると生まれてくる子供にも奇形が出るのでは?と心配される方がいらっしゃいます。しかし成人男性の精子には非常に多くの奇形精子が混じっているのが普通であり、自然妊娠の場合や体外受精の場合には、卵子に到達する前にほとんどの奇形精子は自然に淘汰されます。
淘汰されず奇形精子が卵子に到達して受精した場合は、受精卵の成長を障害する要因になり得ますが、これが原因で生まれてくる子供が奇形になるという報告はありません。

DNA断片化というのは、精子頭部にあるDNAがちぎれてしまっている状態です。精子はDNAに損傷がある場合、精子自身でDNAを修復する力を持っていないため、受精した後に卵子の力でDNAを修復します。修復が完了すれば受精卵の分割が進みますが、DNAの修復が不完全であれば受精卵の成長が途中で止まったり、流産に繋がったりしてしまうと言われています。

(精液検査結果が不良の方で体外受精などの治療を行っている場合、DNA断片化精子を減らす精子精製処理方法を行うことが可能です。詳しくは以下のブログをご参考にしてください。)

「【院長ブログ】DNAダメージを受けた精子を回避して胚盤胞、生児獲得率上昇を目指す(精子セパレーター)」

「受精卵の育ちが悪い・着床しないという患者様へ。精子からのアプローチ」

 

WHOの基準値は、3大陸の8カ国に属する、12ヶ月以内にパートナーが妊娠した男性400~1900の精液をサンプルとして、各検査項目の5パーセンタイルが下限値として与えられ、 それ以上をいわゆる正常基準値とみなしたものです。
ですから、実際に妊娠可能な男性と不妊男性の境界線を示したものではありません。基準値以下であっても必ずしも生殖能力がないというわけではなく、また基準値以上の精液所見に対して生殖能力を保証するものでもありません。

 

このようにあくまで目安とされる基準値ですが、検査結果については自己判断せず、治療が必要かどうかは医師とご相談ください。

また、精液所見は個人内変動が大きいので、異常が見られたときは一度の検査だけで判断せず、再検査を行いっていただきます。

 

当院では一般的な精液検査だけでなく、CASA(精子運動解析装置)とクルーガーテストによる精密精液検査も行っています。

また、DNA損傷検査と酸化ストレス値検査も行っていますので、ご希望の方はスタッフまでお声がけください。