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精液検査について その2(CASA:精子運動解析装置について)

公開:2021.06.05 最終更新:2021.05.28

お知らせ

こんにちは、桜十字渋谷バースクリニック培養室です。

前回は “ 精液検査について その1 ”で精液検査のWHO検査項目についてお話しました。

今回は当院で検査に使用している、CASA(精子運動解析装置)についてお話したいと思います。

一般的な精液検査ではWHOの項目を測定しますが、女性側に不妊原因がなく精液所見が正常でも妊娠に至らないケース、精液所見が異常であるにも関わらず自然妊娠に至るケースが存在します。したがってさらに精子機能を評価する検査法が必要とされています。

 

当院では一般的な精液検査に加えて、CASA(精子運動解析装置)を用いて精子の運動解析を行っています。CASAでは以下の項目について検査することができます。

 

★ 直線速度【μm/秒】

  軌跡の始点から終点までを直線で結んで算定した平均速度

★ 曲線速度【μm/秒】

  精子が実際にたどった曲線で算定した平均速度

★ 平均速度【μm/秒】

  平滑化した経路における平均速度

★ 頭部振幅【μm】

  精子頭部の平均振幅

★ 頭部振動数【Hz】

  精子頭部が1秒間に振る回数

 

CASAの結果を用いた研究は多数あり、

成熟卵子3個以上、原精液の前進運動精子の割合が 32%以上の203症例を対象にした研究では、40歳未満の低受精率群(受精率60%未満)の調整後の精子の前進性が原精液と比べて著しく低かったとしており、CASAによる測定値から、体外受精後の低受精を回避できる可能性を示唆しています。

 

更に人工授精の妊娠成功予測に対する有効性の検討で、原精液の正常形態率が15%以上、かつ処理後の高速運動精子が25.5%以上かつ処理後精子の曲線速度が102.65μm/s以上の場合人工授精の妊娠成功率が高かったと報告しています。

 

さらに、体外受精においては受精不良群(受精率50%以下)と受精良好群(受精率50%以上)の処理前後の高速運動精子と曲線速度に有意差を認めたとしています。

このように、人工授精からのステップアップの指標に用いたり、体外受精にするか、顕微授精にするか、媒精方法の選択等に役立てたりすることができます。

 

CASAでは人間の目では測定することのできない、より多くの項目を検査することが可能です。

当院では一般的な精液検査だけでなく、CASA(精子運動解析装置)とクルーガーテストによる精密精液検査を行っています。

また、DNA損傷検査と酸化ストレス値検査も行っていますので、ご希望の方はスタッフまでお声がけください。

 

 

参考文献

・2018日本受精着床学会総会・学術講演会Conventional IVF(C-IVF)での受精率に関与する精子運動解析装置(SMAS)の測定値の検討

・Prediction of pregnancy by intrauterine insemination using CASA estimates and strict criteria in patients with male factor infertility.Int Androl.2004; 27:63-8

・Relationship between sperm motility characteristics assessed by the computer-aided sperm analysis(CASA)and fertilization rates in vitoro.J Assist Reprod Gent.2001;18:213-8