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妊娠に重要な栄養素『ビタミンD』と『カルシウム』のお話し ~Part.3~

2018.10.20 研究結果

桜十字渋谷バースクリニック培養部です。

前回、『ビタミンD』『カルシウム』といった栄養素が、現代の女性にとって不足しがちであることをお伝えしました(こちら)。

 

国や専門学会から、十分な様々な栄養素をバランス良く摂取するように呼びかけるキャンペーンは世界中で行われていますが、現状としてはまだまだ栄養が不十分であったり、特定の栄養価に偏りがあったりするようです。

 

今回も、これらの栄養素に関する研究について、栄養学に関する研究の発表のために作られた世界で最初の栄養学学術ジャーナルであるThe Journal of Nutritionより論文をご紹介していきたいと思います。

 

アメリカ・University of Pittsburghの研究チームによると、ビタミンD欠乏を示す女性は、細菌性膣炎に苦しむ可能性が高いことを示唆しています。
細菌性腟炎は、体調がすぐれない時やホルモンバランスが崩れることにより、免疫力が低下(※膣の自浄作用の低下)することで、特定の細菌が誘引となって炎症をきたす病態です。

 

WHO(世界保健機構)によると、細菌性膣炎は生殖年齢にある女性の約2~3人に1人の割合で発症し、無症状の場合も含めるとさらに多いことが推測されています。
生殖分野においては、不妊症の原因になることが指摘されている他、妊婦では、上行感染をおこし早期流産や早産、低体重児を招くことが先行研究より示唆されています。

 

Magee-Women‘s Research Instituteの上級研究員で、University of Pittsburghで産婦人科学教授を務めるLisa M. Bodnar教授は、ビタミンDが持つ『抗菌分子の産生』という能力に着目し、ビタミンDの欠乏が女性にどのような影響を与えるのかを検討するため、予備研究を実施しました。

 

本研究では、ペンシルバニア州の複数の産婦人科施設から469人の妊婦を抽出し、細菌性腟炎の発症率とビタミンDレベルについて調査を行いました。
その結果、約41%の女性が細菌性腟炎を発症しており、その内の約93%がビタミンD欠乏を示す低レベルの値であったとしています。また、ビタミンDレベルが上昇するにつれて有病率が減少していることも示されました。

 

ビタミンDには、抗菌分子の生産や機能を調節する働きがあり、免疫系においては細菌感染を予防および制御するといった側面も知られています。このことからBodnar教授は、膣の自浄作用にも関与しているのではないかと考察しています。

 

Bodnar教授は、「細菌性膣炎は、不妊症などの生殖関連の疾患に関与するだけでなく、新生児死亡の主要な原因となる早産にも関わっており、アメリカ国内の妊婦にとっては古くから懸念材料となっている」とし、「予防できる方法を模索することや、特定の栄養素の欠如と発症リスクを理解する必要性は非常に高い」と述べています。

 

アメリカ保健福祉省の調査によると、ビタミンDを十分に摂取できているのは、アメリカ人の成人女性の4人に1人のみであり、特に、アフリカ系の黒人女性では、肌の暗色色素沈着により、日光曝露を受けるとビタミンDの合成量が制限されるため、ビタミンDの欠乏がより顕著であるとしています。

 

Bodnar教授は、「本研究はあくまで予備的な研究ではあるものの、ビタミンDと細菌性膣炎との興味深い関連性を示している」とする一方で、「本研究の知見があるからといって大量のビタミンDを服用することは推奨しない。国が定める推奨量を正しく摂取し、健康に努めて欲しい」と注意を促しています。

 

細菌性膣炎は、非常によくある病態の一つです。
通常であれば、ラクトバシルス属という身体に良い働きをする乳酸菌によって自浄作用が保たれていますが、体調不良などによってその均衡が崩れると発症します。

 

痒みなどを伴うこともありますが無症状の場合もあり、オリモノが多いなぁ‥‥と感じる程度でも何かしらの細菌に感染していることがあります。
膣剤などで治療出来ることが多いので、少しでも早く発見・治療をするに越したことはありません。

 

予防のために、必要な栄養素を摂取して健康に気を付けることはもちろんですが、「もしかしたら‥‥?」と感じたら早めのご来院をオススメします。