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【院長ブログ】レスベラトロールを培養液に添付することで、加齢卵の質が改善した例

2018.08.27 研究結果

こんにちは、院長の井上です。

以前ご紹介したレスベラトロールについての報告です。

赤ワインから見つかったレスベラトロールは、抗酸化作用、エストロゲン様作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用など様々な生理作用の存在が知られています。

前回ご紹介したように不妊治療においては、内服することで卵子の質を改善する見られる可能性が知られています。

今回このレスベラトロールを培養液に添付することで、加齢卵の質が改善したという最新の報告をご紹介します。

“Resveratrol improves in vitro maturation of oocytes in aged mice and humans”

 

内容が少し難しいので、簡単にまとめますと、加齢したマウスとヒトの未熟なGV卵(第一減数分裂前期の卵)をレスベラトロール添付した培養液で体外成熟培養を行います。そうすると添加した群はより多くのGV卵が減数分裂を行いました。また、特別な方法でミトコンドリアや紡錘体の形態を観察し、レスベラトロール添加した群としてない群を比較したところ、レスベラトロール添加群でミトコンドリアが強く発現し、紡錘体の形態が顕著に改善されました。このことより培養液に添加したレスベラトロールは加齢マウスにおける卵の成熟および胚盤胞形成を誘導し、加齢したヒトでは卵の成熟および質の改善を認めました。これはレスベラトロール添加した群としてない群においてミトコンドリアや紡錘体の形態を観察して、レスベラトロール添加群で形態が顕著に改善されました。

 

濃度を検討したところ1.0μMレスベラトロールが体外成熟の適切な培養濃度でありました。

レスベラトロール1.0μM添加した培養液で、加齢卵の質が改善した

という報告でした。

ウシでも同様の報告があります。

この報告のみで決定的なことは言えませんので、今後さまざまな報告をみてさらなる検討が必要です。

補足:

・卵における細胞エネルギー代謝に不可欠なミトコンドリアは、カルシウム恒常性の維持およびアポトーシスの調節にも必要である。その結果、ミトコンドリア機能障害は、加齢卵の細胞障害と不妊の原因となる可能性あり。

紡錘体:染色体を極に移動させる繊維性の構造。これがうまく働かないと染色体を移動させることができない。