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顕微授精(ICSI)の流れ

公開:2023.12.18

基礎知識検査・治療法

顕微授精(ICSI)は、体外受精における受精方法のひとつです。顕微鏡で拡大しながら細いガラス管を用いて精子を卵子に直接注入します。通常の体外受精では、精子を卵子に振りかけるようにして同じ培養液内に置くことで精子と卵子の力に任せて自然に受精を促しますが、顕微授精は胚盤胞と呼ばれる着床する直前までの段階まで育て、子宮の中に移植します。

以下で、おおまかな治療の流れをご説明します。

 顕微授精の流れ

  1. 排卵誘発
    月経2~5日目に来院いただき採血・診察を行い、問題なければ排卵誘発剤を使用し卵巣刺激を行います。卵巣機能により異なりますが、FSH注射やhMG注射を毎日又は隔日投与します。
    月経7~9日目は経腟超音波と採血し卵巣ホルモンを測定し、卵巣の反応性やホルモン値に合わせFSH/hMG注射の量や回数を調節することもあります。
    卵胞の直径が18mmを超えホルモン値も適当な場合、GnRHaという点鼻薬を使用、またはhCG5,000~10,000単位を筋肉注射し卵子を成熟させます。
  2. 採卵・採精
    経腟超音波で卵巣を観察しながら、採卵針で卵胞を穿刺し卵子を採取します。採卵は無麻酔または麻酔を併用し、約5~10分で終了します。出血等の異常がないことを確認し、医師から結果説明を受けた後、帰宅いただきます。
    男性には当日自宅で採取した採精を持参いただきます。(※現在は感染予防のため院内採精を一時中止しております)
  3. 媒精
    採卵した卵子と採精後に精製した精子を一緒にして受精させます。顕微授精の場合、マイクロピペットとよばれる細いガラス管を用いて精子を卵子の細胞質内に直接注入します。顕微授精での受精率は約80%前後です。
  4. 胚培養
    専用の培養液を用いて培養器中で受精卵を育て細胞分裂を進行させます。通常2~7日間、恒温器の中で厳重な管理のもとに培養します。
  5. 胚移植
    発育した受精卵(胚)を子宮内へ移植します。
    採卵した生理周期で移植をする新鮮胚移植と、胚を凍結して別周期で移植をする凍結胚移植の2種類があります。
    正常に受精して発育した受精卵(胚)を超音波断層法で観察しながら、カテーテルを用いて移植します。移植は数分で終了し、痛みはほとんどありません。院内で数分間安静にしていただき、帰宅となります。
    移植当日は激しい運動は避け、日常の家事をこなす程度にとどめて下さい。
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  6. ホルモン補充
    移植後は黄体ホルモン剤を内服します。黄体ホルモンを補充することで、子宮内膜を厚くさせ、着床しやすい環境を整えます。
  7. 妊娠判定
    胚移植後12日目(胚盤胞の場合は7~9日目)に行います。胚移植の場合でも、移植した胚が子宮腔以外の場所に着床し、子宮外妊娠になる可能性があります。

通院回数の目安

採卵周期に入る前に、自己投与注射の説明を2回行います。採卵周期・移植周期はそれぞれ5回程度来院いただきます。初回来院のタイミングとしては、採卵周期・移植周期ともに生理2日目~5日目となります。

通院回数も多く、仕事との両立に悩む方は多くいらっしゃいます。治療と仕事の両立やスケジュール、不安な点は診察時にご相談・ご質問ください。スタッフ一同、患者様に寄り添った治療を進めていきます。

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